県内にいる桶職人などを訪ねて、和太鼓づくりの技術を学んだ。腕のいい職人には自ら交渉し、専属契約を取りつけた。岩切さん曰く、和太鼓の音は食文化と同じで、その地域によって好まれる音質・音色があるという。その地域にあった和太鼓を作るには、優れた職人の技と同時に、微妙な音を聞き分ける「耳」が必要となる。太鼓プレーヤーとして培った経験がここで活かされた。 プレーヤーの視点で作られた和太鼓は、程なく評判をよび、県内の多くのチームが太鼓屋の和太鼓を使うようになった。また比較的安価なこともあり、幼稚園や小学校など教育機関での採用も増えるようになった。 和太鼓を叩くうえで、最もネックになる練習場の確保も地下練習場を備えた社屋を設けることで解決の一助とした。現在、指導員が3名いる太鼓屋では、希望すれば、誰でも和太鼓にふれ、演奏を学ぶことができる。 「いろんな太鼓があって、思い切り太鼓を叩ける。(太鼓屋は)和太鼓が好きな人が一度は行ってみたいと思うような場所にしたいですね」と岩切さん。まさに“痒いところに手が届く”サービスを、ソフト・ハードの両面から具現化した例といえるだろう。